キリエのうた(映画)原作本のあらすじと感想レビューを紹介!

キリエのうた(映画)の原作本について紹介します。

歌うことでしか”声”を出せないシンガーソングライター「キリエ」と、彼女と関係のある人たちの13年の時をめぐる物語です。

二度読むと、より味わえる小説でした〜。

この記事ではあらすじと、原作を2回読んだ私の感想をお伝えしています。

目次

キリエのうた(映画)原作本のあらすじ

キリエの歌(原作)のあらすじについて紹介していきますね。(注意:ネタバレしています)

原作は過去と現在が交錯するような話になるので、分かりやすいように時代に分けて書いていきますね。

【キリエとイッコの出会い】シンガーソングライター「KIRIE(キリエ)」は、路上でギターの弾き語りライブを行って生計を立てている。住所不定の路上シンガーであるキリエの本名は路花(ルカ)。そして彼女は歌うときにしか”声”を出せないという特徴があった。ある夜、東京の新宿駅での路上ライブ中に多額の投げ銭をしてくるれる「イッコ」と名乗る女性と出会う。実は「イッコ」の本名は広澤真緒里(ひろさわまおり)であり、キリエの出身である北海道の帯広高校のひとつ上の先輩で二人は知っている仲だった。イッコはキリエのマネージャーになることを希望し、二人は一時期の間、同居することとなる。

【キリエの高校時代】キリエとイッコが知り合うきっかけになったのが、潮見夏彦(しおみなつひこ)という人物だった。マオリ(イッコ)が高校3年生の10月に、夏彦と出会う。理由は夏彦が北海道の十勝畜産大学の卒業生で、まおりの母の交際相手が経営する牧場の従業員だったことから、マオリの家庭教師となったためである。かつて音楽をやっていた夏彦はマオリの受験勉強の間にギターを弾いたり、勉強を教えてることで二人は仲良くなっていく。ある時、夏彦からマオリの通っている帯広高校の1学年下に自分の「妹」がいるから気にかけて欲しいと言われる。夏彦の言葉がきっかけにマオリが出会ったのがルカ(後のキリエ)だった。マオリはルカと仲良くなり、夏彦と共に3人は北海道で同じ時を過ごす。

【夏彦の高校時代】ルカと夏彦は北海道で一時期一緒に住んでいたが、実は二人は本当の兄弟ではない。ルカには姉がいて彼女の名前が希(キリエ)だった。(ルカはアーティスト名を姉の名前からつけている。)話は、夏彦の高校時代に遡る。高校3年生の夏彦は、仙台で両親と暮らしていたが、夏のお盆の時期に祖父母の家がある宮城県の石巻市を訪れる。夏彦は中学までは石巻で祖母と暮らしていた。そして潮見家は代々、医師の家系だった。久しぶりに石巻に戻った夏彦は、同窓生の集まりで地元の後輩として呼ばれてやってきた希(キリエ)と出会う。夏彦は受験生だったが二人は恋に落ちた。そして希は夏彦の子どもを身籠る。真実を周りに言えないまま受験に突入する夏彦。そして、その冬に大震災が起こり、希は行方不明になる。阪神大の医学部に合格していた夏彦だが進学を諦め、石巻で希(キリエ)を探しながらボランティア活動を行う。一方、希(キリエ)の妹であるルカは生き残り、夏彦が大阪にいると思い込んだ小学生のルカは、一人で大阪に向かいたどり着き、一時期公園で暮らすこととなる。

【キリエ(ルカ)の小学校から現在まで】大阪の藤井市の公園で一人で生活していたルカは、歌うことで身銭を稼いで暮らしていた。小学校の担任をしていた寺石風美(てらいしふみ)は、公園で生活しているルカを気に留め、保護し自宅に連れてくる。その時のルカは歌うこと以外、”声”を出せなくなっていた。風美は、ルカと筆談でやりとりし、ルカの姉の交際相手であった夏彦とSNSで連絡を取り合うことができた。ルカの無事を聞き、石巻からすぐに大阪まで夏彦が会いに駆けつける。そこで夏彦とルカは再会する。ルカの今後について、夏彦と風美は児童相談所に相談するが、二人はルカとは血縁関係がないためルカの身元はやむなく児童相談所に引き取られ、夏彦とルカは離れてしまう。ルカは”あおば子供の家”に引き取られ、中学まで過ごす。その間、夏彦とは連絡が取れなかった。ある日、夏彦の元にDMでルカから連絡があり帯広の高校に通っていることがわかった。里親とうまくいっていなかったルカは牧場で働いていた夏彦と共に一緒に暮らし始める。しかしある時、児童相談所がやってきてルカを連れて里親の元に返しす。その後、再び夏彦とルカは会えない年月が過ぎる。

【キリエ(ルカ)と夏彦の再会】ルカが夏彦と再会したのは、きっかけがあった。ルカが一時期一緒に暮らしていたイッコ(広澤真織)が結婚詐欺をしているグループの一味であることが判明し、任意同行という形で新宿警察署でルカにも事情聴取がとられた。住所を持たなかったルカは、帯広の潮見の住所を伝え、番号も夏彦の番号を答えた。そのため夏彦が警察に呼ばれ、新宿警察署の廊下で再会を果たすことになる。再会した二人は警察署を出たあと、焼肉屋に行きそこで、イッコは夏彦のかつての家庭教師の教え子であった広澤真織であったことを知る。近況を報告するルカ。ルカの音楽活動は徐々に拡大していた。

【キリエ(ルカ)の現在】ルカのシンガーソングライターKIRIEとしての活動は広がり、風琴(ふうきん)と名乗るギタリストや音楽仲間もできた。キリエたちは『真夏の路上フェス』に参加する。タイトルは「路上主義・新宿中央公園フェス』。ライブ前に、キリエが新宿中央公園に行くと、イッコと再び出会う。イッコはキリエのマネージャー業務を買って出たものの行方不明になっていた。普段は電車の中で寝ているキリエに付き添い二人は電車に乗る。そして千葉の松尾駅につき海岸に辿り着く。そこでイッコの希望でルカは彼女のためだけに路上ライブを砂浜で行う。歌った歌は『一人が好き』だった。そして、路上主義・新宿中央公園フェスの当日。公園の使用許可はとっていて3日間の予定だったが、派手に行ったために半日で中止となってしまった。近隣からの苦情が入ったためである。もうすぐキリエたちの出番だった。会場は観客も集まっている。中止しようとする警察、一曲だけ歌わせてとせがむキリエの音楽仲間。歓声と怒声の渦の中、キリエは歌う。キリエは歌い出したら止まらない。拍手喝采の観客。歌った歌は、『憐みの讃歌』キリエが夏彦にギターを習い、そして姉を想って作った歌だった。

キリエのうた(映画)原作本の感想・レビュー

キリエの歌(原作)の感想・レビューについて書いていきますね。

感想は、二度読むとより味わえる小説でした。

というのは、過去と現在が交錯している内容の小説のため、最後まで読むと繋がったな〜という感覚が味わえるのですが、もう一度読むとより理解が深まるからです。

例えば、キリエが歌うときしか大きな声を出せなくなった原因は何か?イッコは何者なのか?夏彦が抱えていたものとは?こういった疑問は小説を最後まで読むと解決されるのですが、2回目を読むことでより見えてくるものがあります。

また登場人物たちがそれぞれ魅力的なため、読むごとに焦点を当てて読む登場人物を変えて読むとより味わうことができます。

私は、最初は夏彦に感情移入し、2回目はイッコに興味を持って読んでいたのですが、小説全体が繋がっていく感じがとても面白かったです。

登場人物たちはそれぞれ繊細で傷ついています。

そんな繊細で孤独な登場人物たちの描き方がとても共感できるな〜と思いました。

特に、私がこの小説で惹かれたのは「イッコ」でした。

キリエのように歌で自分を表現し、自分の声を取り戻していく様子や、夏彦のように拭えない罪を抱える辛さは想像しやすいと思うのですが、「イッコ」が抱えていたものはとても複雑だったんですよね〜。

普通の、女子高生だった子が結婚詐欺のグループとして働くようになる要因は、本当にちょっとした彼女自身の中の「ずれ」ような気がするのです。

小説の中の一文に私は気になったものがありました。

この小さな町の日常に、どこか異質な存在が紛れ込み、その違和感を、岡田くんや自分は感じているのかも知れない。そんな気にもなってくる。

キリエのうた 岩井俊二

これは、学校の先生(風美)が公園にいた少女(キリエ)と出会ったときの違和感について語っている時の、描写なのですが、これって小説のテーマでもあると思ったんですよね〜。

日常に溶け込んでいそうに見えて、異質な存在となってしまう違和感。

これは、キリエに限らず、「イッコ」もその象徴のように思いました。

社会に溶け込んでいるように見せていながら、自分がここに存在していないような違和感って分かる気がします。

みんな個性的で、みんな異質であっていいと思うんですけど、それが許されない社会があるのかな〜と思いました。

読んでいると、登場人物たちが本当に実在していた気持ちになってきてしまいました。

イッコこと『広澤真織』のその後の人生、夏彦の人生、キリエの人生、登場人物たちの人生が幸せでありますように。

色々な視点と気づきがあって、面白かったです。お時間ある方は二度読みおすすめします。

きりえの歌は、二度読むとより味わえる小説でした。

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おわりに

キリエのうたの原作本のあらすじと、本の感想レビューについて書きました。

繊細な世界観がとても素敵でした。

何度か読むとより世界観を感じられるのかなと思います。

ちなみに私は、読みながら『異邦人』を聞きました〜。(同じ方も多いのでは?)

映画化されると音楽も流れるわけで、それはとても楽しみです。

映画も観にいく予定なので、観たらレビューを書きたいと思います!

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